主にアコースティックやジャズ等の少人数及びソロのギターコード奏法を解説するサイトです。

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伴奏コード奏法

伴奏コード奏法の定義

 コードは基本的に2音以上の音を同時に弾く事を指し、コードの原則は根音(ルート音)を最低音として押さえ(6弦〜4弦が多い)、それ以外の弦でいくつかの和音をハーモニーとして押さえます。

 通常これらをある程度の形で覚え、譜面上の「C,F7,Am」などという表記を見て演奏します。ピックで一気に弾く場合もあれば、指などで各弦をバラバラに弾く場合もありますが(アルペジオ)、いずれにせよ、これは何かのバッキングを前提と しています。この根音(ルート音)をいろいろいじくれば、「伴奏コード奏法のベース付コンピング」になりますし、トップノートをいじればある程度のメロディを弾くことが可能です。

 伴奏コード奏法では僕の経験を踏まえ「ビッグバンドでの四つ切から、コンボ、トリオ、デュオ」というコンセプトの元、単なるカッティングやいわゆるコードバッキング、さらにメロディを足した小粋な伴奏、ベース奏者がいない時のベース付コンピング 、前代未聞のウォーキングコード((c)tsuyoshi ichikawa氏)など様々な伴奏を想定したコード奏法を解説します。

其ノ壱 ギターコード概論

はじめに

 ギターで伴奏。これはギターにとって一番多く受け持つ役割といえます。ロックバンドを組んでもあまりソロをギュンギュンやり続けるわけにもいきませんし、ソロ回しのイメージが強いジャズでも、あまりギターがソロをとりつづけるということはないのです。

 もちろん、ギタリストがリーダーのバンドだとか(ジャズやフュージョン等ではありうる)スパニッシュな曲、クラシックの曲などではギターがメイン(あるいはソロ)という事も多いのですが、やはりギターの総人口という観点から見て大部分は伴奏側に回る楽器であるというのがギターでしょう。にもかかわらず、日夜メロディやソロ演奏(ソロギターではなく、単音がメイン)の練習に明け暮れてしまうのも、またギタリストの悲しい性・・。 スケール(音階)練習。フレーズ練習。テクニカルトレーニング。さてはタイムの限界に挑戦した速弾きまで、とにかく練習します。

 しかし、実際は伴奏などに練習時間を費やした方が利便性も高く、実は応用性も高いのです。これをいろいろと知っていて損はありません。そこで、ここではギターで行う伴奏の概論を書いていきたいと思います。 ただし、あくまで通説的なものではなく、僕の考える概論なので、ご注意ください。

第一章 伴奏をする際の基本的思考

 いまさら言うまでもないですが、ギターは基本的に6弦あって上から太い弦(低音)。そして下がっていって細い弦(高音)となっています。上から6弦、5弦、4弦と下がっていき、一番下が1弦といいます。
一般的にバンドの編成を考えた時、最低限必要なのは

1.メロディ
2.リズム
3.ベース(ルート音などを弾く)
4.和音

 一般にこれらを減らす場合は下から順に省いていくと思います。つまり上の方が楽曲に対してより重要度が高いということです。 ということは逆説的に考えれば、ギターやピアノという様々な形態をとれる楽器というのは上記の編成に対して「足りない部分を補う」という方法が一番合理的です。そして、この考えに立った場合でも最初に述べたようにギターが伴奏(和音)の役割を担う可能性が高いのはよくわかると思います。ちなみにルート音というのは和音(コード)の一番低い音を言います。

◎3人編成の場合

これらを具体的に見ていくと、パンクやロックに多い最小限の編成である「3ピース」の編成においては

1.メロディ(メンバーの誰かが歌う)
2.リズム(ドラム)
3.ベース(ベース)
4.和音(ギター)

ジャズで多い最小限の単位である「トリオの場合」@

1.メロディ(ギターor誰かの歌)
2.リズム(ドラム)
3.ベース(ベース)
4.和音(ギター)

ジャズで多い最小限の単位である「トリオの場合」A

1.メロディ(ギターorピアノor歌)
2.リズム(ギター)
3.ベース(ベース)
4.和音(ピアノ)

いきなり珍しい例を出しましたが、このAという編成はドラムレスのトリオにギターと同じ属性のピアノを加えたバージョンです。この場合、主にピアノとギターがメロディをとり、ギターがリズム、ピアノが和音となる可能性が高いので、いわゆる伴奏という役割ではなくなっています。しかしながら、やはりギターは伴奏がメインであり、一般的にはギタリストはピアニストを、ピアニストはギタリストを避ける傾向にあります。じゃないと役割的にお互いぶつかってしまい、やりにくいからです。

◎4人以上の場合

では4人以上の場合においてはどうでしょう。この場合、ギター以外にセカンドギターや鍵盤楽器が入る可能性が高く、すでに述べたように役割がぶつかり、やりにくくなります。 そこでギターは「オブリガード」を担当する事があります。オブリガードとはメロディを引き立たせるためのサブメロディのことです。「裏メロ」とも言います。また、「コール&レスポンス」と言って、オブリというよりはメロディに対して返答するようなフレーズをメロディとメロディの合間に挟む方法もあります。特にブルースやジャズなどでは最小限の編成でも行います(ex B.Bキングなど)。最近みかけるような前衛的なバンドではギターが効果音を担当するケースも見受けられます。ギターの音色を変化させる機械「エフェクター」を用いて特異なサウンドを出す事です。

人数が増えて行けば、必然的にこのようになりますが、では人数が最小限よりも減っていけばどうなるか?
その場合、前にはじめに挙げた役割の下(4番)から順に省くと書きましたが、実際問題としてギターはあらゆる役割を担えますので、省いてしまうというよりも「兼任する」という方法もあります。 つまり、根性で二人分、あるいは三人分のパートを担当しようとするのです。この伴奏概論の最も意義のあるテーマですので、後の方で深く掘り下げていきます。

第二章 いい男なんてざらにいない

 第1章で書いたものをおさらいしますと、一般的にバンドの編成を考えた時、最低限必要なのは

1.メロディ
2.リズム
3.ベース(ルート音などを弾く)
4.和音

 メロディが一番大事なのは、誰でもわかると思いますが、2番のリズム楽器が上位にきてることに疑問を感じる人は結構いるかもしれません。「俺なら、真っ先にリズム楽器(打楽器)を省くぞ!」って人が結構多いからです。

 これがギターコード概論の醍醐味なのですが、この重要度はあくまで、楽曲に対しての重要度でありメンバーの重要度ではないのです。どういうことかと言えば、「曲のリズムが崩れれば」いくらメロディが良かろうが、伴奏がよかろうが台無しなのは間違いない。

 しかし、ある程度のレベルの奏者は「リズムがそうそう崩れない」し、もっといえば打楽器でなくともリズムはどんな楽器でも簡単に出す事ができるのです。上手いボーカリストは歌だけでもリズムを感じさせるほどです。中にはギターのボディを叩いたり、ピアノ本体を叩いたり、手を叩いてリズムを取ったり、足を鳴らすなど、いろいろな工夫もされるぐらいです。だから楽曲としては重要度は高いけれども、打楽器そのものが重要かどうかは一致しないのです(打楽器奏者の人、ごめんなさい。悪意はないです。)

 そういう意味ではメンバーとして一番重要なのは「ベースを担当できる楽器奏者」であります。ここでは最重要なメンバーの事を「オットコ前奏者」といいます。ベースを担当できる奏者といえば、そのままではありますが真っ先に思いつくのはエレキベースやウッドベース奏者です。しかし、僕の経験上一番必要であるはずのこの「オットコ前奏者」はなぜかあまり見かけません。ギターやボーカルなんて腐るほどいるのにベースとなればまったく出会わないのです。なにか協定で「ベース奏者は自らがベース奏者であることを公にする事を禁ずる」とか決まっているのか?と疑ってしまうほどです。昔の人は「ベース奏者は鉄のわらじを履いてでも探せ」と言ってるくらいです。(笑)

 もし高校生とかが「バンド組もうぜ」ってなると真っ先にギターが名乗りを上げます(というかたいがい言い出しっぺ)。次に男前の人気者がボーカルをやり、体育会系のやつがドラムをやります。で、ベースがいないのです。 やむなく、メンバー募集をするか、事情の知らない同級生に「バンドやらない?」と強引にやらすか、はてはギターやボーカルなど希望のかぶった者同士でじゃんけんをして負けた方がベースを担当する事になります。 この絶対数の少ない「オットコ前奏者」。結構省かれる対象になるのですね。ということで前置きが長くなりましたが、ここからはベース奏者がいない場合のギターの方法論です。

 さて、ベース奏者がいない場合の伴奏について書いていきます。 さすがに4人編成以上なのに「ベース楽器」がいないという事はないでしょうから(たまにあるにはあるが) ここではトリオである場合とデュオである場合を想定して話を進めましょう。

 ・トリオの場合

 トリオでベースがいないという場合はメロディ楽器かボーカルが1人いて、もうひとりが和音楽器か打楽器である場合が多いです。 もう1人が和音楽器(筆者の経験でいえばピアノ、アコーディオン、鍵盤ハーモニカ)の時はまず最重要であるリズムを意識します。 メロディがボーカルの場合で気のきく人ならばタンバリンあたりを打ちながら歌ってくれる場合もあるでしょうが、それが望めない場合、ギターが真っ先に行うのはリズムを出すことです。歴史的に見てもギターが貢献してきた位置どりは実はメロディや和音ではなくリズム楽器としてです。 この場合のリズムの出し方はシンプルなものが二通りあります。

1.ボディーあるいは弦全体を叩くことによりパーカッション奏者になりきる。
2.カテッィングだけを行い、リズムマシーンになりきる。

 1を選択する事も意外にあるのですが、ギターを持ってきているのに、そんな事に終始するのもどうかと思わざるを得ません。 弾けもしないギターを抱えて出てきたお笑い芸人じゃないんですから、できれば1を選択したくはないものです。しかし、実際僕も1をよくやります。ただし初めから最後までやりつづけるという事はないですね。あくまで1コーラスくらい変化をつけるために行うことがあります。 ということで2がメインになります。通常カッティングというと16分音符主体のファンキーなあるいはリズミックなものを想像しがちです。もちろん、曲によってはそれでもいいのですが、ポップスやジャズなどの曲の場合は本当にパーカッションの担うようなリズムを担当するのが望ましいでしょう。その場合、あくまでもリズム担当である事を肝に命じましょう。

 つまり、カッティングといえばコードを刻むことを言いますが「自分は和音を出しているのではなく、リズムを出しているのだ」と意識することです。

 ここで、リズム奏者になりきる場合のコード奏法を具体的に書いていきます。

 カッティングといえばコードを刻むことです。しかしここでは「自分は和音を出しているのではなく、リズムを出しているのだ」と意識します。 これを「なんちゃてリズム奏者」と呼びましょう。

☆なんちゃってリズム奏者の心得1 「高音は使わない」

 まずは音域の話ですが、基本的にリズム楽器は高音が少ないと思いませんか?
トライアングルやシンバルはリズム楽器というより、装飾音だと思っています。(金物といわれるやつ)それに対していわゆる太鼓は中低音がメインです。だからギターも6弦〜3弦までを使います。 もっと言えば6弦と5弦だけでも十分です。多くて4弦までとか・・

 これは「ベース奏者がいない」という前提にもマッチしてます。

☆なんちゃってリズム奏者の心得2 「和音らしさは控える」

 先にも述べましたとおり、和音楽器がかぶっている場合、お互いやりにくいです。貿易関係で譲りあわず、絶えず緊張関係にある外交のようになっていては音楽としては失敗です。ここはリズム奏者になると決めたんですから、和音の醍醐味は相手方に譲ってしまってリズム担当ならではのコードを考えます。

 和音の醍醐味の真骨頂は「テンション音」です。これを説明すると長いのでコードの知識に乏しい方は気にせず読むか、コードの基礎知識を参照してください。(^^;) 

 まず、このテンションは絶対的に使用禁止します。 次に和音のおいしい所は「3度と7度」の音です。これを弾いてしまっちゃあ、国際紛争になってしまいますからこれもあまり使わないようにします。(多少は使う)

 以上を鑑みると、なんちゃってリズム的コードのメインは「ルートと5度」という事になります。特にベースがいないんですからルートを弾くのは当然であり、理にかなってますよね。

 勘の良い方なら「これってパワーコードかえ?」と思われているでしょうが、結局ロックなどではドラムやベースがいるものの、ギターもリズム奏者として「ダダダダ ダダダダ」ってやってるわけですね。

 まとめますと、トリオにおいてベースと打楽器がいない場合のギターの弾き方は 「6弦から3弦のルートと5度をメインに使用し、4分や8分のリズムを刻み続けろ!」という事ですね。なお、紛争がおきない程度に3度や7度を足すのが結構スタンダードですので、お好みでどうぞ。 (余談ですが、ジャズに限定するならばルートと3度、あるいはルートと7度でひたすら4分音符を刻む、という手段が結構常套句となっております。ジムホールなどは3度、7度ですが・・)

以下現在工事中

※続きは次回更新までお待ちください(07/04/5最終更新)











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